●『日本が「対米従属」を脱する日』(田中宇)が訴える日本の“真”の独立
NO.637   2010.1.1.15
 田中宇(たなか・さかい)氏は、おそらく日本で最も高名なブロガーの一人である。田中氏のウェブ・サイト「田中宇の国際ニュース解説」は、メール配信を受けている読者が18万人、ページビューは月に150万にも達する。
 東北大学経済学部を卒業して共同通信を経てマイクロソフトに入社。日本初の本格コラムサイトの『MSNジャーナル』を立ち上げ、ネットジャーナリズムの先駆けとなり、独立後に自らのウェブ・サイトを運営するようになった。
 著者紹介に「PC一台を駆使して世界の情報をダイレクトに読む」と、あるように、自らが世界を駆けまわって取材、要人インタビューなどをこなすわけではない。欧米の通信社を中心に世界のニュースを読み込んで、独自の解釈を加えて情報発信する。
 現場感のなさに不満を感じる向きもあるが、それをはねのけて、余りある面白さと確実な情報分析がある。それが可能なのは、田中氏に「ぶれない軸」があるからだ。
 その「軸」が、『日本が「対米従属」を脱する日』(風雲舎)として上梓された。田中氏が一貫して主張してきたのは、世界が多極化、その中で日本は生き残る道を探るべきだということ。今、まさに鳩山政権がその道を辿ろうとしているだけに、タイムリーな出版となった。
 田中氏は、多極化をオバマ政権も容認しているという。


「米国は、国連を最重視する姿勢を打ち出した。(中略)オバマは国連が「世界政府」になっていく過程を容認しているともいえる。米英中心の世界体制が崩れ、多極型の世界体制へと移行する動きを、ここでも米国自身が誘導ないし扇動している」
 そして田中氏は、民主党政権の「脱官僚」が、日本を冷戦思考や対米従属中毒から引き離す、と読む。小泉政権は対米従属強化、安倍政権はそれを踏襲、福田政権、麻生政権へと受け継がれるが、「米国は一貫して、表向きだけ日本重視といいつつ、実態は日本無視だった」という。
 鳩山政権はそこから脱しようとしている。
「鳩山が選挙前に発表した論文『私の政治哲学』で、米国の市場原理主義が失敗したと明言したことは、民主党がネオコン戦略と決別し、米国の衰退と世界の多極化に対応して、小沢の正三角形外交戦略に一本化したことを示している。(中略)東アジア共同体(アジア通貨統合)や日米関係の対等化など、鳩山が論文で書いた外交戦略は、小沢の戦略と一致しており、戦略的には両者の間に矛盾が感じられない」
 田中氏によれば、対米従属や冷戦体制の永続化を望むのは官僚機構であり、米国は既に、2000年の「アーミテイジ・ナイ報告書」で「日本は米国に従属するのではなく、対等な同盟関係に近づくべきだ」と、述べていたという。しかし、官僚機構を中心とした英米中心主義者たちは、権益を失うことを恐れ、マスコミを巻き込んで「反民主」で結束するのである。
「日本を英米中心主義から多極主義の側に転換しようとする民主党は、失政やスキャンダルなどを誇大報道されて、短命に終わりかねない」
 この部分は、まさに弊誌が別項で「検察とマスコミの愚」として指摘した通りであり、そうした官僚機構とマスコミが発する反民主、反小沢、反鳩山の情報に踊らされることなく、多極化の中で生き抜く術を模索する際、必読となる書籍といえよう。





NO.637   2010.1.1.15

●通常国会で谷垣・自民党の評価が定まる!

●「小沢捜査」が最終局面で問われる検察・マスコミの責任!

●北に自信を与えた日本政府「黄元書記招請先送り」の内幕

●新華僑の資力で仕手株化する「中国関連銘柄」の功罪

●毎日・共同「包括提携」異例の訂正会見の背後にあるもの

●強制捜査目前でも逮捕はないと読むSFCG大島健伸元会長の開き直りの論理

●『日本が「対米従属」を脱する日』(田中宇)が訴える日本の“真”の独立




NO.636   2009.12.15

●政府与党の調整能力不足が支持率を低下させる

●天皇の「逆政治利用」に手を貸した宮内庁長官と読売新聞の大罪!

●違和感——政権交代でも不動の国家情報中枢、その「事情」

●指名手配された山口組系組長とグッドウィルM&A脱税事件との関係

●民主独走「外国人地方参政権付与法案」をめぐる虚実

●鳩山邦夫元総務相のファミリー企業ゼフィルスに「曇り」はないか?

●『小沢一郎 嫌われる伝説』(渡辺乾介)を読まずに語れない小沢論




NO.635   2009.12.1

●景気・経済対策が急がれているのに何が問題なのか

●未曽有の危機に官僚的発想で役に立たない藤井財務相と白川日銀総裁

●「献金の隠蔽工作」は証明されたものの聴取は見送られた鳩山捜査の是非!

●『毎日新聞』はどうなる?意味がわからない『共同』との“包括提携”

●パチンコ店に銀行ATM設置で潤う大企業と警察OBの懐!

●再開された小沢一郎捜査の核心は「世田谷不動産」の原資

●「時効廃止」は正義なのか?




NO.634   2009.11.15

●マスコミは対米従属報道からの脱皮を!

●羽田D滑走路で「国家への詐欺」を問われる鹿島の原罪

●横濱、鬼頭、福村と続いて「増資マフィア」の終焉

●田舎医師の増長で日医次期会長選は混沌

●全銀協「普通口座から反社排除」のあまりの短絡さ

●特捜が「グッドウィルM&A脱税」の先に見据える久間元防衛相へのカネ

●『エコノミストを格付けする』(東谷暁)が切れ味鋭く迫る有名人