●「山田洋行事件は『逆ロッキード』」説が物語る「事件のいかがわしさ」
NO.588   2007.11.15
 軍事商社「山田洋行」元専務で「日本ミライズ」社長の宮崎元伸氏が、業務上横領などの容疑で東京地検特捜部に逮捕され、長く燻っていた「防衛利権の象徴=山田洋行疑惑」は、ついに検察の強制捜査の手が入る事態に発展した。宮崎氏が山田洋行米国法人から引き出していた資金が流れていたであろう接待の相手、守屋武昌前防衛事務次官の贈収賄での立件が捜査の次の焦点になることは疑いようがないが、見誤ってはならないのは、宮崎氏を検察に“売った”、山田正志元オーナーや米津佳彦・山田洋行社長ら、旧来の「山田勢力」の位置付けである。
 例えば、一部マスコミを賑わしているのが、「山田洋行事件は『逆ロッキード』」という報道である。宮崎氏が、米国の軍需産業に影響力がある国務省や国防省など米高官に資金提供をしており、特捜部が資料を米捜査当局に渡し、対応を促した——というものだ。米議会で資金提供が発覚し、日本に波及したロッキード事件と、逆の構図になる国際軍事汚職だというものである。
 関係者が語る。
「宮崎氏側からの資金提供先として名が挙っているのは、アーミテージ元国務副長官や、米軍事業界と日本の政治家に人脈を持つという弁護士たちです。宮崎氏は、ゼネラル・エレクトリック(GE)の在日代理店指名を、山田洋行から日本ミライズに変更させることに成功しましたが、資金提供はこの事実と相関関係を持つものとして受け止められています。特捜部が米国に検事を派遣したため、信憑性が高まりましたが、検事は山田米国法人を調べていたと分かり、本当に米捜査当局に情報提供したかどうかは不明です」
 ただ、問題はこの情報の「出所」である。関係者は「山田の米津社長は、水面下でマスコミ各社の記者に“裏広報”して、宮崎氏の“行状”を書かせているが、この話もその一つとして流された」と指摘する。
 確かに、「逆ロッキード」の構図は衝撃的であり、マスコミが飛びつくことは間違いない。ただ、冷静に考えたとき、山田側がこのような話を裏で“積極広報”する意図は何か。山田にとってのメリットは何であろうか。これに答えるのは、宮崎氏の側近である。
「山田は派手なスキャンダルを流すことによって、マスコミの目をそちらに向けようとしている。自身の過去に報道を向けられるのが嫌なのだ」
 今でこそ、宮崎氏は接待王の如く語られ、政官界を酒やカネ、ゴルフで操った妖怪の如く報じられているが、もともとは山田グループのオーナーだった山田氏との二人三脚で展開されたことなのである。しかも、不動産業に傾注していた山田氏は、住友銀行首脳を通じて故金丸信・元自民党副総裁を筆頭に、旧経世会に人脈を開拓していった。宮崎氏の防衛商法の起点は、防衛官僚OBの田村秀昭元参院議員だったが、このパイプが起点になり得たのは、1989年参院選で、山田氏の金丸人脈と結びついたからこそ、なのである。
 山田氏は、宮崎氏の防衛人脈を支えた後見人そのものであり、宮崎氏の“行状”を語ることは、山田氏のそれを語ることに等しい。山田洋行が一方的に宮崎氏の“非”をなじる現実は、事実と異なる。そうした虚飾を隠すためのエサが、「逆ロッキード」という情報ではないかという見方が強い。
「宮崎氏が、防衛官僚や国防族の人脈を接待によって開拓する一方で、山田氏は本業の不動産業のため、別ルートで政界工作を繰り返していた。その筆頭が、久間章生元防衛相だ」と、関係者は指摘する。このことを忘れると、山田洋行疑惑なるものの本質を見誤ることになる。
 なるほど、今のところは山田氏側が描く青写真の通りに事態は進んでいる。だが、「バランス」をとるのが身上の特捜部だけに、このまま山田氏側の思惑通りに捜査が進むことはあり得ない。仮にそんなことになれば、それこそ特捜検察は「死んだ」と批判されよう。





NO.588   2007.11.15

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NO.587   2007.11.1

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NO.585   2007.10.1

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