●自衛隊の「監視活動」は国民と民主主義に対する冒涜だ!
NO.578   2007.6.15
 国家が持つ最大の暴力装置である軍隊を、どう制御するかに、世界の為政者は頭を悩ませてきた。軍隊が暴走、多くの国民を死に追いやり、国を焦土にしてしまった過去を持つ日本ではことにそうで、戦後の政権は、国民の「軍隊アレルギー」を、どう払拭するかに気を配ってきた。
 しかし、国民の意識も変化する。
 戦後60年以上が経過、軍隊を自衛隊と言い換え、憲法第9条をご都合で解釈するという、ごまかしを長く続けたことによる“歪み”を自覚、ようやく国民は軍隊の意義を認め、改憲による軍隊の存在の規定をタブーにしなくなった。
 ただ、それには条件がある。
 暴力装置である自衛隊は、民主主義の根幹である自由な言論を、いささかでも侵すようなことがあってはならず、そのために制服組は強力なシビリアンコントロールのもとで制御されなくてはならない。
 戦前、国民の自由な思想信条を認めず、情報収集を行ない、「隣組」による密告制度で国民を統制したのは、憲兵だった。
 忌わしい過去の存在ではあるが、権力は暴力装置(軍隊)の次に、情報の収集・操作のための組織が欲しくなってくる。それが権力の持つ怖さであり、軍隊にそんな機能を持たせてはならないというのは、タカ派とハト派の区別のない共通認識だった。
 ところが、憲兵を想起させる組織の存在が、日本共産党の調べで明らかとなった。
 弾圧を伴わないこの監視装置の名を、「陸上自衛隊情報保全隊」という。隠された存在ではないが、「イラク派兵反対集会」などのデモの参加者を洗い、その素性を把握のうえで、発言内容をチェック、以降の行動まで監視する。共産党の資料は、広範囲な「情報保全隊」の「スパイ活動」を物語っていた。
 元自衛官の名前を記した記録には、集会名、日時、参加人数などとともに、その集会で誰が何を発言したかまで詳しく記されていた。そして、この元自衛官に関する記述には、「参加が認められたが、発言などは行なわなかった」とある。
 集会の参加者が名札をぶら下げているわけではない。「情報保全隊」がマークしていたから、この人物を特定できたわけで、他の集会での行動も記録されていた。「要注意人物」として行動確認しているわけだ。
 集会への自由な参加と活発に交わされる言論は、民主主義の大前提である。その原則を自衛隊は破っている。
 また、こうした「スパイ活動」は、防衛庁の省への「格上げ」を認め、条文解釈による「日陰の存在」という、今の自衛隊の立場を改めさせ、条文化のうえで軍隊として認知しようという気になった国民に対する、明白な裏切り行為である。
 本来、こうした活動は、国民感情を汲み取った政治家が制御すべきだろう。ところが、久間章生防衛相は制御どころか容認する。次の発言は、この政治家の歴史認識の欠如を物語っている。
「公開の場へ出かけていって、そういうこと(デモや集会)が行なわれたということを、事実として把握するだけ」
「集会で、例えばイラクに行っている自衛隊について賛成、反対それぞれあると思うが、そのと時ほかのことに触れた場合は、併せて記録してもおかしくない」
 日本の憲法が、集会・結社の自由を認め、表現の自由を保障したのは、それがない時代の権力の暴走がいかに怖いかを、身をもって体験したからであり、それは「日本国憲法は米国の押しつけだ」といったレベルの話ではない。
 情報の収集の次には監視がきて、最後には制御、弾圧へと向かうのが、権力の抱える暴力装置の“性”である。収集のレベルだから許されるという話ではなく、収集という行為自体に問題があることを、久間防衛相は理解しておらず、久間氏を防衛相に任命した安倍晋三首相を筆頭とする現政権が、「国民監視」を容認、その認識のまま改憲を進めようとしているのだから恐い。
 さらに言えば、この問題を『読売新聞』『産経新聞』のように、ほとんど取り上げないメディアや、狭量にも共産党の「党利党略」とみなしてこの問題に敏感に反応しない民主党などの野党は、権力の監視装置としての役割を放棄しているというしかない。





NO.578   2007.6.15

●安倍首相窮地で衆参同日選の可能性も!

●民主・前原前代表と安倍首相を結びつける新進企業経営者

●自衛隊の「監視活動」は国民と民主主義に対する冒涜だ!

●年金問題で、党役員の鈍感ぶり!

●「SAT隊員死亡」真の問題点の所在

●マスコミが注目するABCホームの実力と中川秀直自民党幹事長との関係

●証券取引等監視委員会の委員長に就任する佐渡賢一検事長の評判と課題

●年金問題をコムスンにすり替えた厚労省の罪深さ




NO.577   2007.6.1

●首相発言、実質的な“指揮権発動”に!?

●松岡農水相を「死」に追い詰めた検察捜査と地元の離反

●国際石油開発帝石・石油資源開発「統合」に反発する天下り利権守旧勢力

●小泉前首相の参院選応援はあるのか?

●プロキシファイトに突入した「楽天vsTBS」の行方

●「村岡逆転有罪」は検察捜査の正当性を語るものではない

●「不適当な合併」を指摘された上場企業のその後と驚愕のスキーム

●資本支援要請を重ねるJALは法的整理で出直すしかない!




NO.576   2007.5.15

●表と裏で改憲を目指す安倍流の危うさ

●市長の首を容易にすげ替えるスズキ会長「支配」の異様さ

●安倍首相主導で決着だが「ザル法」?

●特捜検事が熊本入りした「林道談合事件」の行方

●吉本興業問題の本質と報じないテレビ局の責任

●「公費懸賞金」が招く日本の刑事警察「終わりの始まり」

●「市場のハイエナ」のルーツに入った国税のメス

●大宅賞作家・佐藤優氏の「異能」を生かし切れない雑誌ジャーナリズム




NO.575   2007.5.1

●安倍総理の姿勢に保守派が苛立ち!!

●官僚の「事務局長争奪戦」が暗示する日本版NSCの将来

●安倍首相が激怒した『週刊朝日』報道の真贋

●安倍首相、参院選挙前の改造示唆か?

●暴走する楽天・三木谷とTBSとのケンカが想起させるフジVSライブドア

●「中坊公平が弁護士復帰請求」で問われる弁護士会の見識

●「スポンサー責任」の明確化で揺らぐ広告業界

●三角合併の解禁を前に増える怪しきMBO