検察の談合摘発が続いている。
国土交通省と日本道路公団の二ルートで橋梁談合を摘発した東京地検特捜部は、昨年末から重電設備談合に着手、まず成田空港ルートを手がけ、近く防衛施設庁ルートに伸ばす方針。1月4日から強制調査権を与えられて意気あがる公正取引委員会とともに、「談合社会撲滅」を目指す勢いだ。
天下りの受け入れと引き換えに入札情報を漏洩、それをもとに業者が談合で高値落札を図り、緩衝材や仲介役として政治家秘書が加担するという公共工事における談合の構図は、今度こそ壊されそうだ。強制調査権とともに導入された、公取委に内部告発すれば罪を減じるという「密告制度」は、談合を支える「村社会の論理」を間違いなく揺さぶるし、なにより課徴金の引き上げにより談合メリットは失われつつある。
それを見越して、談合の筆頭業種であるゼネコンは、「業務屋」と呼ばれる談合担当者の配置換えを行なっている。「総合力で勝るスーパーゼネコンが、法改正を機に『勝ち逃げ』を図ろうとしている」という、中堅以下の不満はあるものの、「小泉改革」のもと、全企業が苛烈な競争社会に叩き込まれ、企業が物として売り買いされる「市場中心主義」が“認知”されていく中で、話し合いで利益を少しでも多く確保しようという手前勝手な論理と手法が長続きするはずもない。独禁法の改正、検察の連続摘発、業界の自主的な組織解体は、時宜を得たものといえよう。
この流れに沿って、とどめのような公取委調査が続けられ、2月にも検察への告発が予想されているのが、汚泥・し尿処理施設の談合である。年間1000億円未満の小さな市場。ただ、橋梁談合と同じように、三菱重工、日立造船、クボタ、三井造船、住友重機械工業などの大手がズラリと並ぶ。
橋梁談合、重電談合などで摘発済みのところも多く、ゼネコンと同じように、談合組織を解体、もしくは自ら離脱しなければ、課徴金や指名停止の長期化といった実利はもちろんのこと、これだけ確信犯的犯罪を重ねていれば、コンプライアンス以前の問題ゆえ、企業としての存立意義が問われよう。それは同時に、官製談合を主導する「官」の側の問題でもあり、政治システムの改革にもつながっていく。
例えば、汚泥・し尿処理談合を公取委が検察に告発すれば、具体的な「犯罪の場」としてヤリ玉にあがりそうなのが、山口県下関市のし尿処理施設談合である。昨年7月末に入札は実施され、クボタを代表とする地元企業三社との共同企業体が26億8000万円で落札した。入札前から談合情報が伝えられ、入札除外されたプラントメーカーが内部告発、混乱に嫌気のさした担当の環境部長が辞職するという混乱の中、予定通りに入札は実施され、談合情報通りの落札だった。
この談合疑惑が捜査対象となれば、間違いなく安倍晋三官房長官の道義的責任が問われよう。下関市が安倍氏の地元というにとどまらない。江島潔市長も市長の知人で公共工事に影響力を行使するというH氏も、JVに参加する建設会社も、入札に関与した地元コンサルタント会社も、すべて安倍事務所と深い関係を結んでいるからだ。
「実力者だから市政を含めすべてに関係するのは仕方ない」という言い訳は通らない。このし尿処理施設に限らず、下関市の入札では、市長周辺のH氏が暗躍することが少なくなく、その構図は安倍氏を中心とする権力構造によって支えられている。中央で小泉側近として改革を支え、その後継者になろうと意欲を燃やす安倍氏は、地元で確立されたこの旧態依然としたシステムを、自分の手で打ち壊すぐらいの気概を持たねばならない。
検察と公取委は調査・捜査の面からこれに挑み、業者が悔い改めようとしている時、三世議員らしく「よきにはからえ」と、地元の魑魅魍魎たちに利権の分配をまかせているようでは、この人に宰相の資格はない。

